Sea to summit 富士山への挑戦!その3!

翌日は、4時の予定でした。さすがは朝に強い秀平君。しっかり私を起こしてくれました。開口一番「タクシー呼びましょうか?」。そーだよなー。呼びたいなぁ。でも、頑張ろう!というわけで、また昨日のように二人でテントで朝食はパンのナゲットにツナ明太の缶詰を乗せて。



、山本商店の自販機で、カフェオレを買ってきてくれたのがおいしかった。缶のカフェオレなんて甘くて飲めないので、久しぶりでした。



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時出発の予定が、530分くらいに。すべてを撤収し、野宿の基本。まるで何事もなかったようにきれいに立ち去る6合目で合流する本体は、7時に上野駅集合と聞いています。みな、ぼちぼち行動を始めたようで、メッセンジャーグループもにぎやかになってきました。


行こう!


すでに、単独行の恐らく村山ジャンボリーにお泊りだった方が2名をほど先に山へ入っていったので、俺たちも急がなきゃ。村山古道の入り口。うっそうとした雰囲気。周辺は太陽さえ出ていないものの薄暗く。おお、パワーあるなぁ。足元は石畳で年季が入っています。ワクワクと不安の入り混じったこの感じは久しぶりです。




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5分ほど歩くと、急に視界が明るくなり、あれ?もう終わり??また元の車道へ。入口から先は車道が整備されていました。歩きなれたアスファルト。昨日散々歩いたアスファルト。二人ともずんずんと進んできます。最後の民家も通り過ぎ、鎖で通行止めにしている箇所へ。ここからは山道です。


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入口には小さく「村山道入口」。昨日も含めアスファルトの道は秀平にリードしてもらいましたが、ここからは山道。山に慣れた私のリードです。この山道を秀平の大股で歩かれたらついていくのはたまったもんじゃない

基本的に、ルートにはピンクのリボンと青のチロリアンテープが掛かっています。沢と尾根歩きがメインなので、それほど道見迷うことはないだろうと思ってました。朝見かけた二人の踏み跡も、ちらりほらりと残っていてこれなら大丈夫。



が、しかし「しの字の杉」を見たとき、私は大事なことを忘れていました「しの字の杉から右の溝路へ」を忘れて直進してしまったのです。しの字の杉は見た!写真も撮った。でも、この「しの字の杉」が何だったかを忘れて直進。15分くらい歩いて、ふと気が付くと前走者の踏み跡がなくなっている。顔を上げて見回しても、テープが一本も見当たらない。沢は、小規模な滝の様そうで段差も大きくなってきています。しばらくルートを探しましたが、ダメだ。戻ろう。わかるところまで。


そういや、踏み跡見ていて、一つだけ足跡が反対を向いている気がしてちょっと気になったんだよな。たぶん先行者も間違えて引き返したな笑



ここで、連れてきたお袋代わりのお袋が56歳で富士山初登頂した時に使っていた金剛丈長い、邪魔だこの獣道では、むしろ杖に頼ってしまい、腕も振れず、かえって疲れる気がする。いやいや、何を言っているんだ。お袋と同行だろうが!一人脳内突っ込みを入れつつ、来た道を引き返します。




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山での道迷いの基本は、迷ったと感じたら必ずわかるところまで戻ることです。なんとなくあっちかな?こっちかな?と道を外れるうちに、本当に道に迷ってしまいますので、わかるうちに引き返そう。

まだ、歩き始めて2時間くらいホント大丈夫かしら。



しの字の手前まで戻ってテープを発見。ほっと一安心。右の巻道を通って今自分たちが迷ってた辺りを見上げると、予定よりずいぶん高度が上がっていたことに気が付きました。無理しなくてよかった


全体行程の1/4くらいしか歩いていない。出発前から怪しいなと思っていた、6合目に11時集合あー、遅刻確定秀平に本隊の修さんに電話連絡してもらう。「間に合いそうにありません




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とは言え、まだ930分くらいだったか?このころは、本隊よりも私たちの方が先行していた(はずな)ので、まぁ適当のこの先も連絡取りあいましょうくらいの感じ。


しばらく歩くと、札打場跡の大ケヤキ。おお!パワースポットだ。ちょっと瞑想でもしていきたいと考えていましたが、時間的に全然そんな余裕もなく。行くぞ先へ。写真一枚とって先を急ぎました。




天照教社も奥之院も、本を読んだときは寄り道したいなぁと思っていましたが、スルー。写真すら撮らなかった笑



ようやく、前に人工物の鉄橋が見えてきました。こ、これは、富士山麓山の村生活棟の近くだ。確か水があると聞いた。鉄橋の脇をよじ登り、生活棟へ。水道発見!!!う、うまい!!!頭から水を浴び、汗を流す。持っている水筒にはすべて水を補充。ついでに賞味期限切れのアミノ酸入り粉末ドリンクをペットボトルに仕込む。秀平にも分ける。30分くらいの大休憩。




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朝からすでに5時間近く行動していたので疲労困憊も、だいぶ力が戻る。この付近で6合目までのまだ1/3笑。11時に6合目とか絶対無理と確信また、秀平から修隊長へ電話。「先に行ってください」。




「あ、あと秀平の防寒着が何もないので、どこかに置いておいて」。本体はちょうど宝永第一火口のベンチで休憩しているところでしたので、「じゃあここに置いていくよ!」これでプリンスルート確定。最悪は、富士宮ルートで山頂で合流!とも考えていましたが、もうできません。最後まで追っかけるしかない



本隊の宿泊の山小屋は富士宮プリンスルートの8合目赤岩八号館8合目なんて絶対無理6合目で泊まって山頂集合にするか、7合目で宿泊するか。どちらにしても今日中の合流はこの時点で断念。焦らずのんびり行こう。最悪でも、俺たちにはテントがある!(あ、その場合、五合目の下でテント的なビバーグ)


そのあとの馬頭観音は、見落とす。中宮八幡堂跡でお参り。が、ここでまたもや痛恨のミス登山道は広場の手前から右の沢に下るとあるのに、広場から直接右の尾根へ。途中まで踏み跡有ったんだけどなぁ。いきなり踏み跡が消えました。きっと先行者も間違えたんだと思う。この辺りでようやく山と高原地図(富士山)に現在位置が表示されるようになったので、GPSを起動。




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先ほども記載したように,山の道迷いはわかるところまで引き返すが基本です。ただ、今回は地図を見てすぐ先にスカイラインが横切っていること、そして左へ巻けば沢筋は回避できるという判断で、そのまま左へ。10分くらいでスカイラインに出ることが出来ました。ほっと一安心



車道をしばらく戻って、7.8㎞ポストから再度村山道へ分け入る。15分ほど歩くと何やら人の気配。おおおお!!人だ!!朝から歩き続けて初めて人に遭った!思わず、色々話しかけてしまいました。二人組の中年男性でしたが、ちょうどお昼の準備をしているよう。五合目から下がってきてこの先に車をデポしてあるので、今日はこれで終わり(西臼塚駐車場かな?)。


あー、五合目まで乗せてってくれないかなー。とは思うものの、ここまで来たらもはや自棄だ。この先のルートの概略を教わり、先を進む。すぐに単独行の下りの方とすれ違いましたが、あいさつ程度。なんだか人が増えてきたなって印象でしたが、またしばらく誰とも会いません。唯一この先で私たちはレジェンドに会うことになるのですが。



この辺りから何となくピッチは詰まってきます。つまり斜度が少しづつきつくなる。ここまで、ほぼずーっと上りです(道間違えて引き返したのは別笑)ちょっとの下りも新鮮で、二人で歓声を上げていました。



次の休憩ポイントは、再度横切る富士山スカイライン。10.8㎞ポスト付近。どうせ休憩するなら、誰もいなところじゃなくて人の気配のあるところが安心。「スカイライン脇で秀平の日本一周の看板見せつけてやろうぜ」。とはいえ、観光バスは一瞬で通り過ぎ、バスも大型ばかりで道脇で座り込む私たちにだれも目をくれませんさて、行くか。



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ここからは、いよいよ本格的に高度を上げます。かなりピッチもきつくなってくる箇所。6合目までの胸突き八丁。大倒木帯です。確か山頂の展望と駿河湾の展望が開けると有った気がする!大倒木帯は倒木帯なので、日影が少ない!これまでずっと樹林帯だったので、なんだかんだ初日とは大きく違って比較的(!)涼しく進めましたが、日差しが強い!ひゃーあじー!と悲鳴を上げながら登っていると、前から人の気配。



むむむ??おじさんが下りてくる。あれ?誰だっけ?見覚えが、、。あーーーーーーー!!このルートの発掘者の畠堀操八さんだ!!



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本を拝読して、田子の浦からいまココにいることと、村山古道の地図を送ってくれて助かっていること、そして何より「このルートきついわ!」と話しかけると、気さくに「今日の暑さじゃ大変だよ」と労わってくれました。


畠堀さんは、行政の方の視察に同行しているんだと嬉しそうに話してくれました。著書「富士山村山古道を行く」では、行政に対して村山古道という遺産をなぜきちんと生かせないのか?という恨みつらみが(笑)溢れてましたので、きっと何かしら進展があったのだと感じました。


私も歩いてみて、このルートは良い遺産だと思います。強烈なアップダウンも少なく、トレイルとして考えるなら、むしろこれからの時代富士山の五合目から下のトレイル開発は大いに期待したい


いやー、それにしても勇気もらった!元気でた!ここまでくれば6合目まではもう少し!とは言え、もう15時くらい。はー疲れた。



秀平と二人で急登をすすみ、途中また休憩した後に道を間違えましたが、ようやく5合目への分岐へ。ここまでくればあと25で六合目!でも、がすでに二人とも底をついていました。朝食のパンと行動食しか食べていません。ダメだ、一度エスケープして5合目に行こう。5合目ならここから10です。



5合目に向かうと決めたときの秀平の目の輝き様ったら笑。二人とも足取り軽く、五合目へ。あ!車が見えた!おお!ついた!!!



本当に、ほっとした瞬間でした。



とりあえず、コーラ!そして何か食べよう!下界では切り詰めた生活をしている秀平も今日は大盤振る舞い。生姜焼き丼を大盛で、しかもおばちゃん優しい!大盛は無料サービス

二人でむしゃむしゃ食べました。コーラってさ、ホントにうまいな。


ちょっとビールも飲みたかったんですけど、ビールを飲んだら6合目すら行けない気がしたので、コーラで乾杯。



1時間ほど休憩したでしょうか。体力はだいぶ戻っています。明日の登頂のことを考えると6合目からだと恐らく夜中の11には出発しなくてはならない。5合目にテントなどの不要な荷物をデポしてしまえば、今の体力なら8合目まで行けるんじゃないか?との判断で、1730分に8合目を目指して出発することにしました。秀平の眼にも力が戻っています!行くぞー!



荷物の預かり料は一つ1000。ここは、二人で一つにまとめよう。オレはサブザックがあるので、そちらに詰めて、オレの荷物をデポして秀平の荷物もオレのザックに入れて預ける。彼のザックの中を見ると、ものすごい量の生活品。そうだよなー、このザック一つでずっと生活してきたんだよな。本2冊、ビオレ、鍋やかん、調味料、油、保存食材、テント、簡易洗濯機笑などなど、私のザックに詰め込んでデポして必要最小限に荷物で出発です。


せっかくなので、さっきの村山古道の分岐まで戻って、登り返さないか?って提案にも、10分ほど余分に歩くのですが了解をもらい、二人で村山道最後のワンスパン。いよいよ6時ちょっと前に6合目に到着。ここで、標高2600。今日だけで標高2000m上がってきた。疲れるわけだ。





これで、まぁざっくり村山古道制覇です!嬉しい!とは言え、早く山小屋に転がり込みたい。



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(次号へ続く・・・)